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Archive for 2010年9月

滝川赤石沢から飯豊連峰… 8/19-21

山形県と新潟県、福島県の境にある飯豊連峰、そこを歩くアプローチに沢を経由しようという着想で、山形県側の滝川から地蔵岳の方角へと伸びる赤石沢をハンさんと辿ってみようということになった。

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小国駅前のスーパーで行動食を仕入れるはずだったけれども、沢靴・沢道具・ちょっと多めの食料を含めて26LのRPMに一切がっさいをつめ込んできてパンパンだったので、おにぎり3個だけを買ってタクシーに乗る。

東北の山も田舎もはじめてだったけれど、駅からタクシーで離れるとすぐに目立った人工物が少なくなる。里山、といっても関東近辺で見るようなのとは違い、あまり人の手の入ってなさそうな原生的な様子に少し心奪われた。

滝川の林道沿いの森の中には廃村跡。運転手談によると昔は住民がいて狭い畑を耕し山菜を採ったりして生計を立てていたらしいが、行政インフラを整備するのが難しいので町に転居しろと促され、みんな森の生活を捨てて出て行ったらしい。もったいない。

林道の終点にて料金9000円を支払い遡行の準備。釣竿をセットし、沢靴に履き替え、ハーネスをはめてヘルメットを被り出発。

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滝川を辿り、砂防堤のような場所を越えてしばらく行くと赤石沢への入渓ポイントがあり左折。雰囲気は少し鬱蒼としてくるけれども、しばらくはほとんど高低差がなくフラットな沢筋を歩く。

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石が赤いから赤石沢なのだろうか?ところどころ小さな滝も出てくる。

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僕のテンカラ竿を代わる代わる振りながら歩く。

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魚影は見かけたのだが、

ハ「おーい、ここに魚いるよー!! ここだってー」

ワ「あぁ?(声大きいってまったくもぅ…)」バシャバシャ

というかんじで騒々しくデリカシーの欠片もない俄釣り師達に釣られる魚がいるわけもなく…

1980円で買ったテンカラ竿は途中で継ぎ目が硬くなって収納できなくなり、がんばっていると折れてしまった。

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僕は問題ない滝であればなるべく登るのだけれども、ハンさんは沢に来たというのになぜか濡れるのを嫌がり、巻けるところはとにかく巻こうとする。歩き方は人それぞれだな…

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8mほどの滝がこのルートのクライマックスらしい。直登は避けて左から巻く。が、斜面は藪に覆われ足を乗せた土もずりずりと崩れ落ちなかなか焦った。僕は結局ルートミスをして高巻きすぎたので懸垂で降りる羽目に。ロープ出したりしている拍子におにぎりを一個沢に落としてしまった。

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運命の分岐ポイント。赤石沢をまっすぐ進むと地蔵岳にほぼ近い登山道に出られるはずだが手元に情報はなく、予定ではここからヤゴウ沢へと入り登りつめてから廃道の尾根を歩くルートなので、そのとおりに左折した。

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幕営ポイントがなかなか見つけられず日がどんどん暮れていったが、やっと焚き火のできそうな場所を見つけキャンプイン。タープも張らずビビィでの露営。

翌日、朝食を作るのが手間なので最後の一個のおにぎりを食べて出発。ヤゴウ沢を詰めにかかる。だんだん両側の植生が迫ってきて視界を覆ってくる。虫も増えてきた。目の前をミノムシが垂れ下がってきて飛び上がって驚く。沢に来といてなんだけど苦手なんだよなぁ…

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そろそろ水が涸れる。次の水場まで3時間ほどだろうか、ペットボトルに水を500mlほど確保。だんだん斜度が上がってきて、崩れる土の斜面と格闘しながら尾根を目指す。短くしたストックを土に突き刺し、草の根をつかみながら這い上がる。なかなか安心出来るホールドが少ない。

上がりきったところは鬱蒼とした藪の中だった。想定では鍋越山の近辺のはずだ。靴を履き替え廃道跡をさがす。地図上ではここに廃道のルートが通っており、登山道までは単純に尾根を辿って2kmほど。長くても2-3時間も歩けば辿りつくだろうとタカを括っていたが結局廃道の跡のようなものは見つからず、潅木の藪は想像以上に激しかった。

にょきにょきと真横に伸びきった無数の枝のような潅木が壁のように行く手を遮るので、それを持ち上げて潜ったり、あるいは思い切り体重をかけて踏みつけたり、ときに跳ね返されながら進む。そんな具合だから体力も気力もみるみる奪われていく。なんと生命力の旺盛な藪だろう。視界も悪く、ちょっと離れるとハンさんの姿もすぐに見えなくなる。

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藪と格闘すること3時間、5時間、7時間… 水はとうに尽き、食事もろくに取らずに藪を漕ぎ続ける。

それにしても長すぎる。途中で不安になるハンさん。

ハ「…ちょっとヤバくね?」

ワ「いや、尾根沿いに進むだけだから。迷ってないし。ちょっとハードなだけで…」

ハ「でもさぁ、方角合ってるのかなぁ…」

ワ「だいじょぶだってー、尾根だからさ (まーたいつもの不安症がはじまったよ…)」

と言いつつ、僕は体力的に参ってきて休憩時間が長くなる。そうこうしているうちにいよいよ日は暮れてしまった。途中で蛇がとぐろを巻いていたのを発見するけどもはや驚く気力もなくスルー。

月夜が山蔭を映しだし、目指す山道まではあと100mほどを残すのみに見えた。しかし今までで最もハードな藪に阻まれ心が折れる。もう動きたくない。まだ体力を残してるハンさんには先に行ってもらい、僕はトラバース中の藪の斜面でビバークすることにした。

喉は乾いたけど仕方ない。一晩くらい大丈夫だろう。

急な斜面にも容赦なく生えそろった潅木の上にのっかって、体が地面につかないのもお構いなしで眠りに入る。ハンさんの藪を漕ぐ音がいつまでも聞こえる。まだ抜けられないのだろうか? zzz…

翌朝、起きると2-3mほどずり落ちていたので登り返す。ルートの先を見渡すと眼と鼻の先に目指すピークが見えた。あそこが山道との合流点のだまし地蔵のはずだ。

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しかし体が動かない。どうもシャリバテてしまっている。やっぱ食べないとダメだな。ザックを開いて食料をさがす。まずはパックに入っためんつゆを飲み干し、続けてキーマカレーを冷えたまま一気飲みする。うまい。糖質が欲しいけど米を炊くには水がない。あぁめんつゆで炊けばよかったかなと思うも後の祭り。生麺もあるから焼けばいいのだけれどしかしもはや斜面でストーブを出すのもめんどうだ。さらに食料袋をさがすとピーマンが3個。生のままかじるとシャクシャクと水気がして極上の味。念のため1個を残し、しばらく体を休めてから行動開始。

潅木の障害物を踏み越えながら、3歩進んでは休み、また進んでは休みを繰り返し、斜面を進もうにもらちがあかないので、心を決めて尾根を這い上がる。なんとか緩そうな笹薮に到達し、しばらく歩くとようやく山道へと復帰。倒れこんでしばらく眠る。

起きると登山客もちらほら、近くで休んで声をかけてくれたオジサンに水とキャラメルを分けてもらい腹に収める。少し体力は回復したか。しかしここから飯豊連峰を歩くべきか、ハンさんはどこまで進んだだろう。もういいや、尾根歩きはあきらめて降りよう。

山道はなんと快適なんだろう、まるで高速道路だなー、と思いながら、途中で食事をとり、徐々に体力が回復してきて最後は走りながら駆け降りた。

そもそもルートミスだろうか?水と行動食をケチったのが良くなかったか?次またしんどい思いをするのが嫌なら今回の旅から課題を見出さなければいけないけれど、しかしそんなことはどうでもよく、地獄のような藪から這い出た満足感だけを愉しみながら東北を後にした。

カテゴリー:hike, Outdoor