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Forty Below Light Energy Overboots

今シーズンの足回りのレビューがまだだった。最近流行りの冬期ランニングシューズシステム。ここのマネっこ。

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左から順に、

– ソックス内: Injinji クールマックス五本指ソックス

– ソックス中: ROCKY ゴアソックス

– ソックス外: がまかつポーラーテック200ソックス

– シューズ: VASQUE イーサーTECH SS (片足340g)

– インソール: Superfeet RedHot

– シューズカバー: Montbell サイクルフットウォーマー (片足63g)

– オーバーシューズ: Forty Below Light Energy Overboots (片足213g)

その上に、こいつらを履いて歩きます。

– アイゼン: Kahtoola KTS Aluminium (片足 270g)

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– スノーシュー: MSR Lightning Ascent 22 Women’s (片足 737g)

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靴下はなんと三層(!)である。ポイントは中間のゴアソックスでこいつで足の蒸れを封じ込めることで外側のフリース層の保温性を低下させないようにする。そうすると内側が蒸れ蒸れになるんじゃないかと心配ではあったが、クールマックスの吸湿レイヤーを入れておくことで十分さらさらな状態を保ってくれた。

ちなみに今回保温層にウールではなくフリースを使ったのは、保温層を濡らさず、濡れても速乾させるため。ウールはひとたび蒸れると保水したうえで凍結するのが怖かったからだ。

予備ソックスはインナーのInjinjiだけを持っていったため荷物の重量も節約できるという効果も得られた。アウターソックスは基本的に蒸れから守られるし万一濡れても速乾するわけなので交換が不要という理屈。厚手のソックスを予備で何枚も持っていくとかさ張るしやっぱり重いわけですし。

シューズはイーサーTECHのソフトシェル版。イーサーTECHはBOAダイヤルをぐりぐり回すだけでヒモを締められるので冬用の厚手グローブをしていても操作が楽なのがよい。メッシュ版はどうも雪が入り込んで凍り付いてしまわないか心配だったので新発売のこのソフトシェルモデルを選択。通気性はよく雨雪もそれなりにはじいてくれることを期待する(とはいえ防水レイヤーで包み込むのだが)。3層靴下に対応させるためにかなり大きめのサイズを選択。本来は米国サイズで9.0なんだけどこいつはなんと10.5!大きめサイズのシューズで足指周りの空間を広くとると、結果として蒸れにくくなるような気がする。冬場はぎゅーぎゅーの靴は危険なのだ。

インソールにSuperfeetのRedHotを入れておくことで足裏の保温性を確保する。こいつはかなり暖かいですよ!

さらに保温層を補強するためにMontbellのサイクルフットウォーマーを投入。こいつはネオプレン製でつま先から足の甲までを覆って足首をぐるっと回してフィットするタイプ。

そして一番外側がForty Below Light Energy Overboots。防水レイヤーとして足全体を包みこむ。このオーバーシューズが外側からの濡れを、そしてゴアソックスが内側の蒸れを防ぎ、この二つの防水レイヤーでサンドイッチにすることによって保温層とシューズを濡れ・凍結から守るという原理だ。

べりべりっとベルクロを足下まで開いてアクセスする。高さは膝下まであるしドローコードで締められるのでゲーターがいらない。

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足首から下の素材はネオプレンなので保温性もある。しかもなにやら素材表面に起伏がつけられていて、アイゼンのベルトを締めるときなんかに滑らないようになっている。

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ゲーター部分は、伸縮性のある素材が使われていて履きやすい。

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足裏の素材はこんな感じ。薄手のゴム製で突起がつけられている。

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写真がぼけてしまって分かりにくいが、さっそくかかとに穴を空けてしまった。軽いのはいいんだけれども耐久性に難ありだ。補修しつつ使っていくことになりそうだ。

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で、総論として今回の足回りのシステムはおおむね成功。狙いとしていた完璧な保温性・防水性・蒸れと凍結の防止・軽さ・足首フリーな軽快性については十分な効果が得られた。冬期の森林限界上の2500m以上でも特に問題は感じられなかった。昨年はミドルカットのゴアトレッキングシューズを使っていて、つま先が冷たくなってきたり凍り付いてガチガチになったりしたのだけれど、そういうたぐいの問題は皆無だ。絶対の信頼性!ローカットなのでやや足首に疲れが出やすい気はするが、でも気のせいかもしれないという程度。

脱ぐときもオーバーシューズから一枚ずつ全部ひっぺがしていく必要はなく、ベルクロを開いてイーサーTECHのBOAダイアルをぐりっと引っ張って緩ませばまるごと脱げるので着脱も素早く簡単。

問題はやはりオーバーシューズの耐久性だ。基本的にアイゼンかスノーシューをつけて歩くわけだけれども、やはり薄っぺらい生地なのでどうしても摩耗してしまうみたいだ。とはいえオーバーシューズのソールをがっしりしたものにすると重くなるし、だったらオーバーシューズではなくて最初から防水保温性のあるゴアトレッキングシューズにしとけばいいんじゃないのという気もしてくる。ちょっとしばらくは補修しながら恐る恐る使ってみようかと思っている。

最強の靴下

冬山でどんな靴下を履くべきか。昨シーズンはとにかく暖かければいいのかということでウールの厚手の靴下を二枚重ねで履いていたのだけれど、夜テントで過ごすときに蒸れて保水した靴下が凍り付いて刺すような痛みに苦しめられ、それ以降は日数×2枚の予備靴下を持参して頻繁に交換するようになったのだが、これがまたけっこうかさ張るのだ。とはいえ凍傷は怖い。冬山遭難でまずダメージが来るのは足先の凍傷だ。ここに寒気を感じると恐怖すら覚える。冬山の靴下は、通気性、保温性、防水性など、相矛盾する機能が求められる最もデリケートかつ対策を怠ると高い代償を求められるアイテムなのだ、と思い知った。

で、来シーズンに向けて靴下をなんとかしようと思っていたのだけれど、ググってもいまいち良い解決策は見つからない。厚手のウールの靴下を履け、と。いやそれ凍るって。

すべての機能を1本の靴下に求めるとすべてが中途半端になるのだと思う。アウトドアウェアの常道たるレイヤードを靴下にも適用すべきなのではということでいろいろ工夫してみた今のところの結論。

インナー: ささ和紙五本指ソックス

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熊笹をすきこんだ和紙を糸状にして編み込んだ靴下という優れもの。触ってみると分かるがこれは完全にメッシュだ。蒸れようはずがない。あとは速乾性がどこまであるか。保水したままなのだろうか。試してみないといけない。クールマックスの五本指なども試したけどあればダメ。やっぱり蒸れる。

いずれにしろこのインナー層のみを交換するので、荷物としては軽くなる。

ミドル: Rocky ゴアテックス防水ソックス

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おなじみのゴアテックス素材を靴下にしたもの。がんばって海外から取り寄せた。防水性はばっちりだ。足の蒸れによるインナーの保水した水気を外に直接出さず、透湿機能で徐々に出して行く。そして濡れ戻さない。いわゆる蒸れ・濡れを分断統治するための防御壁。なおかつ外からの水気や寒気を完全にシャットアウトできて暖かさも確保できる。足を水につっこんで靴がずぶ濡れになっても安心だ。いざというときはアウターにすることもできる。

アウター: がまかつポーラーテックソックス

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釣り具メーカーの靴下。保温性に優れたフリース素材のポーラーテックというやつを靴下にしたもの。ウールと比べると、保水せずに速乾するところが違うのか。ただしひとたび濡れると保温力は落ちる(と思う)ので、濡れない事が前提になる。暖かさは問題ないレベルだ、というかとても暖かい。ACORNのなんかはカラフルでかっちょいいけれど、こちらは口回りにゴムがあってずり落ち防止できるのがポイント。とはいえフリースなので生地全体に伸縮性がないのでやはりずり落ちやすいのがネックか。かつてのコギャルのようにソックタッチを塗るか。。。

この三層レイヤード靴下で冬山では最強!のはず。もう凍らせない。たぶん。。。

しかしアウターのフリース部分は外から濡れないことが前提なので、靴自体にも工夫が必要になってくる。近年のゴア系登山靴は、これまた一つのアイテムで防水性と保温性と通気性を持たせようと無茶をするからどの性能も中途半端になるわけで、靴周りもさらにレイヤードを取り入れるべく、ただいまいろいろ海外より取り寄せ中。