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Archive for 2009年12月

HIKER’S CHOICE 2009 WINTER

コブフェスで特に目についた人気ギアをレポ。ギア好き・海外通販好きのブロガーたちがチョイスした道具は、今シーズンの冬山ハイカーの定番(?)になるとか、ならないとか…

Kahtoola KTS Aluminum 10人中3人

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超軽量のアルミ製クランポン。赤い色が映えます。

Kahtoola KTS STEEL 10人中3人

 Armynavy Images Kahtoola-Kts-Steel

同メーカーのスチール製クランポン。アルミだと岩場を歩くとすり減ってしまうので、多少重くてもこちらのほうが耐久性があって長持ちしそうです。とはいってもやはり軽量級。

Patagonia Backcountry Guide Pants 10人中3人

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ちょっと重ためだけど、裾にスカートがついて雪が入り込みにくく、シルエットも美しいパタゴニアのソフトシェルパンツ。完全防水ではないけど、雪程度ならはじいてくれます。

Black Diamond OneShot 10人中3人

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シングルウォールのミニマムサイズなソロテント。フロアレス好きのハイカーも、冬場はやっぱり自立式。サイドパネルを開いて雪景色を眺めながら過ごすと最高です。

Osprey Exos 10人中3人

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いわずと知れた、Ospreyの最軽量バックパック。軽いながらも機能性を損なっていないので、いろんなものを収納しやすく、取り出しやすいです。背負心地も最高!

Therm A Rest Ridge Rest 10人中4人

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定番リッジレスト。これ一枚だけだと寒いので、単体での使用ではなく、何かと重ねて使う人が多かったと思います。

GoLite Adrenaline 0° 10人中5人

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センタージッパーが特徴的な冬用シュラフ。首周りがあったかいです。これで寝た人はみんな、ぬくぬく眠れたようですよ。

finetrack フラッドラッシュスキンメッシュ 10人中?人

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何人着ていたかは分からないですが、ほぼ全員?インナーのさらに下に着ると、汗の濡れ戻りをふせいで冷えないので、冬場には必需品。

他にも同素材のグローブとかソックスとかを使っていた人もいましたが、冬場にどんな効果があるやなしや、詳細レポを待ちたいところです。

finetrack ストームゴージュアルパインパンツ 10人中7人

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今回の参加者が履いていたパンツは、先のBCGパンツとあわせてなんと二種類!こちらはなんと7人もの人が履いていました。

ストームゴージュは、撥水性があり動きやすく耐久性もあるとかなんとか、冬場のハイカーに絶大な支持を得ていることが判明しました。

他にかぶってた道具は、何があったっけ?

カテゴリー:gear, Outdoor

コブフェス2009レポ

12月中旬の甲武信岳に幕を張り、鍋を囲もうというソロハイカーの集いに参加してきました。総勢10名。寒くてあんまり写真撮れなかったけどいちおうレポ。

西沢渓谷の道の駅の駐車場に前泊して、それでも朝8時くらいにぬくぬく起きて歩き始める。

変態パッキングで鍋をかつぐroadman

 Twitpic Photos Full 50921980

コースタイム5h30の小屋までのルートは途中まで二手に分かれ、徳ちゃん新道は僕を含めてNULい3名(toriさん、kimatsuさん)、その他の鉄人たち7名は近丸新道からハイクアップ。

登山口で僕がウェアの調整をしている間にtoriさんがスタートダッシュ、kimatsuさんも続く。ようやく僕が歩き始めてしばらくすると、前方にkimatsuさんの後ろ姿を確認。追いつけるかな?と5歩10歩と進んでみてまた前方を見あげると、kimatsuさんの位置が変わってない。休憩してるのかな?と思い、さらに歩みを進める。やはりkimatsuさんが止まって見える。そうこうしてるうちに追いついてよくよく見ると、kimatsuさんは休憩してるわけでなく、なんと5秒に1歩くらいの超スローペースで進んでるではないか!

なんというNULハイク! こんな歩き方があるのかと衝撃を受けつつも(笑)、個人のペースを優先するというフェスの方針のもと先を急がせてもらう。

近丸新道を行く鉄人チームにはかなり引き離されるんじゃないかと思ったが、タイミングよく分岐点で合流。ここでみんなアイゼンを装着。準備のできた者からばらばらと先に進んでいく。

とにかく寒い。寒波が来ていることもあり、昼過ぎで気温計は-20度を指していた。今までの冬山経験でも日中でここまで気温が下がったことはあったかしら?じわじわと体力が奪われ気力も萎えてくる気がする。

分岐点で待つ僕とtoriさんとkool8さんを尻目に、すでにkimatsuさんは分岐点に到達するまえに悠々と撤退を決定(!)。さすが”NULスタイル”の提唱者。寒波の雪山に深入りする前の早々の決断はお見事と言わざるをえない。結局どこでビバークしたのかしら?詳細レポ希望。

再び山頂目指して歩き始めるも、かつてない寒さと急登攀にtoriさんもグロッキー気味。

隊列を組んで歩くのは苦手だけど、なぜだかtoriさんとは体力的にもメンタル的にもちょうどいいらしい。お互い気を使わないという暗黙の了解もあり、休憩が大好きなこともあり、どちらかがペースを早めて少し離れてもじきに追いついて結局二人で歩くことになる。kimatsuさんが脱落した今、最後方はこの二人で守らねばなるまいっ!

小屋はまだかー。

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もう疲れたぜ…

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ようやく甲武信小屋に到達し、めんどくさいけどテントを張る。登りのトップ賞はmt_hanterさんだったそうで。

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夜はHirobさん特製の粕汁鍋。nut’sさんが担ぎ上げた巨大なスノピのバーナーで調理。みんなで持ち寄った具材を投入する。野菜に、きのこに、海鮮あり、肉あり、たらふく食って温まって満足。というより食材余りまくり。

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夜は寒かったという者(主にMontbell #1ユーザ)、ぬくぬく眠れたという者(主にGoLite Adrenaline、Marmot Lithiumなど)、それぞれあり。

-20度の極寒のなかビビィですらないシュラフカバーで露営する変態roadmanの寝床。これでぬくぬく眠れたというからなんというか恐るべし。

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今回の秘密兵器。”Wanderboil Titanium零号機”を持参。写真がうまく撮れず申し訳なし。

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クッカー&風防部はフルチタン製、Esbitとエバニューのクッカーを流用して加工、それにJetboilの蓋とコジーを流用。重量はバーナー(P-114)込みで250g。750cc。イグナイタを外せばさらに軽量化できそうだ。

冬はやはり安定したガスの火力で、手軽に雪を溶かして水を得ることに特化した軽量の道具が欲しかった。ノーマルJetboilはさすがに重い(439g?)し、なんとかして軽量化できないかと半年ほど前から構想を練っていたのを、ようやくフェスの一週間前に着手してプロトタイプを仕上げた。

裏側はこんなかんじ。VagabundoさんのSOLO JET(なんと130g!?)を参考に、アルミリベットを”固まるシリコーン”でひっつけました。2、3個ぱらぱらと落ちるのは気にしない気にしない…

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ガス缶とバーナーはちゃんとクッカー内に収納できる。これ重要。幾度の実験でコゲコゲになったコジーとか、まだ仕上げは粗いですがなんとか実用できそうです。今シーズンはこれを使います。

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翌朝。スノーシューを装着して出発。

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日差しの良い天気のなか出発します。すでに10時くらい?

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トレースのない雪深い巻き道をスノーシューでざくざくと進む。あぁ幸せだ。

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左に行くと雁坂峠だ。トレースもないぞ。行ってみたい衝動にかられつつも右の下山ルートへ。

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後ろを振り返るとぞろぞろとアイゼン組のトレース泥棒たちが追いついてきて抜かしていく。

ひととおり見送ってから、ひとりでヌルヌルと下山開始。

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下りになるとスノーシューが邪魔になってくる。アイゼンで踏み固められたトレースの上は歩きにくいので、ふかふかの雪を求めて道を外れて鬱蒼とした森の中を下ってると方向を見失って藪の中に迷い込む。倒木を乗り越え必死に脱出したりして遊んでるとどんどん時間が過ぎて先行組から離され、結局山頂を目指したやな兄弟以外では最後尾でしたが無事に下山。あれ?そういえばまた山頂行ってないなぁ…

温泉入って、ラーメン食べて、帰りましたとさ。みなさんおつかれさましたー!

カテゴリー:hike, Outdoor

三ツ峠中央カンテ

三ツ峠は12月ともなると雪が被っていた。河口湖畔で仮眠をとって車で登山口まで移動し、荷物を担いでハイクアップ。同行者はmt_hanterさん。

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ぬるぬると一時間ちょっと歩くと山頂手前の小屋に到達。富士が目の前に見渡せる。

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今日の目的はこの巨大な岩壁。三ツ峠屏風岩。

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下から見上げて、いままでにない高度感にふたりともしばしあっけに取られる。オフシーズンなのだろうか、周りには誰もいない。

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クライミング歴の浅い、というよりマルチピッチをリードするのは今回が初めてな二人でトライ。

当然いるはずと思っていた他のクライマーに聞きながら教えを請いながら簡単なルートを行こうと思っていたが、結局見回しても誰もいないので、トポ図上では一番オーソドックスそうな中央カンテを選んだ。全部で4ピッチの80mほど?グレードはⅢ〜Ⅳ+だっけか。

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mt_hanterさんが最初にトップで取り付いて、ツルベ式に交代しながら登っていく。岩は雪解け水が少しかかっていたが大勢に影響はなし。しかし上からパラパラと落石が降ってきて肝を冷やす。

3ピッチ目で苦戦。ビレイしていてえらく時間がかかるなと思ったらセカンドで登った僕も苦戦。頭の上によさげな支点があったのでクイックドローをかけて手でつかんで体を引っ張り上げて無事通過。

途中のテラスで昼食。

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なかなかの高度感。

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斜度はどれくらいだろう?

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4ピッチ目の僕のトップのときもまた苦戦。ルートがわからず登ったり降りたりしてるうちに焦って心が追い込まれていく。なんとかトラバースルートを発見して無事に完登。

その後頂上に上がったらすでに15:00過ぎ。一本登るだけで一日終わってしまった。

登ったぞ!という高揚感は、今まで”山登り”で感じることはなかったけれども、今回は二人とも少し興奮気味に山を降りる。ともあれマルチピッチデビュー戦、無事に帰ってこれて一安心でした。

つい4ヶ月前にジャンダルムに連れていかれ、安全技術の必要性を感じて始めたクライミング。なんだかちょっと本格的になりつつあるけれどこの先どこまで行くんだろう?でもこの楽しさの麻薬に取りつかれてどんどん上を目指していくとキリがないのでどこかで一線を引くべきだと頭の中では分かっているけれども、その一線をどこに引けばいいのか案じ中。さて次はどこへ行きましょうか。

温泉に入って朝霧ジャンボリーの放置村へ。こちらは一転してぬるーいキャンプ。ガールのみなさんも!

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ついさっきまでの生死を賭けた緊張感が嘘のように、完全に脱力してまったりと過ごさせていただきました(笑

みなさんどもでしたー

カテゴリー:climbing, Outdoor

懸垂下降のリスク

懸垂下降で考えられる危険性を整理メモメモ。「生と死の分岐点」「続・生と死の分岐点」より。

ロープセットの間違い

2本のロープを結合する場合に、結び目が不完全ですっぽぬけ (ガイド結び、半分だけのフィッシャーマンズノット、結び目が逆になったフィッシャーマンズノット)

ロープが支点にかかっていないのに降りてしまって墜落

ロープを自己確保のカラビナにかけてしまい、セルフ解除と同時に墜落

片方のロープだけにエイト環を通して降りてしまって墜落

2本のロープを結合して下降するときに、長めにとった末端を間違えてエイト環にセットしてしまいすっぽぬけて墜落

支点にかけたスリングの結び目の末端がからまった輪にロープをセットしてしまいすっぽぬけて墜落

支点崩壊

ハーケン、ボルト類の懸垂支点が崩壊

中間支点のハーケンを懸垂支点にして支持力が足りず抜け落ちて墜落

2本のボルトにかかった鎖にスリングをかけて支点にしたが、鎖の輪にスリングを通さなかったため、一方のボルトが抜け落ちて墜落

2本のハーケンに通したスリングにロープをかけたが、スリングの輪の中に通さなかったため、一本のハーケンが抜け落ちて墜落

豚の尻尾を下降支点にしていてロープがよじれて支点から外れてしまい墜落

スリングのすっぽぬけ

岩にかけたスリングがほどけて墜落

支点にかけたスリングの結び目が不完全ですっぽぬけ

ロープ切断

下降中に横に振られたときに岩に擦れてロープが切断

規格外のロープを使ってしまい切断

車内に保管したままでバッテリー液(硫酸)で痛んだロープで下降して切断

二つのパーティが同じカラビナにロープをかけて、一方が下降しロープを回収するときに摩擦でもう一方のロープを融断してしまう

エイト環への巻き込み

エイト環に髪・服・髭・ヘルメットの顎紐などを巻き込んでしまう

ゲート開放

下降中にエイト環がハーネスと連結したカラビナのゲートを押し開いてしまい、そのまま外れて墜落

エイト環との衝撃でカラビナの安全環が破損し、ゲートを押し開いて墜落

半マスト結びで下降中に、結び目が引っ繰り返ってツイストロックカラビナのゲートを押し開いてしまう

ロープ末端からのすっぽぬけ

ロープの末端を結ばずに降下してすっぽぬけ

末端を結んでいない長さの違う2本のロープで下降して、片方の長さが足りなくなってすっぽぬけ

長さの違う二本のロープで下降している途中、長さを揃えようとしてエイト環からロープを緩めたところ、ロープが流れて墜落

ロープの真ん中を示すマークが実際は真ん中ではなかったために、長さが違ってすっぽぬけて墜落

同時懸垂のすっぽぬけ

二人の同時懸垂下降で一人が確保点に着いたときにロープを外してしまい、そのまますっぽぬけてもう一人が墜落

ロープが回収できず行動不能

ロープを支点にかけたと勘違いしてロープを投げてしまい回収不能で降りられず

投げたロープが途中で岩にひっかかって抜けなくなり、ナイフもないため切れずに行動不能

ロープのキンクを防ごうとしてロープの末端を別々に結んで下降し、確保点に到達して結び目を解かずに回収しようとして回収不能に

気をつければ防げそうなもの、不運なもの、いろいろあるけれど、一番目につくのはそんなことありえるのかというくらいのイージーなヒューマンエラー。どれだけ経験を積みスキルを高めようとも、人間は本質的に間違いを犯す生き物ということか…。だとしたら、打つ手なし!

カテゴリー:climbing, Outdoor