SIMフリーのiPhone 4で日本通信にMNP
とある早朝、宅配便のお届け、シンガポールから届いたiPhone4。眠い目をこすり、あらかじめ用意していたPodditiesを装着する。
カラビナ式のストラップ、なんせ落とすと大変だ。僕の3GSは今も北アルプスの深奥、日本最後の秘境に眠っている。もう二度とあのような悲劇を繰り返してはならないのだ。
わざわざシンガポールから調達したこのiPhoneはSIMフリー機だ。SIMカードを挿せばドコモでもSoftbankでも好きな電波につなげられる。auは方式が違うからダメだけど。
16GBモデルで値段は888SGD=56,000円。日本でロックのかかった同じモデルをSoftbankの一括で買うと46,000円だから、そんな高くない、かな…
翌週、日本通信から届いたSIMカード。まんまFOMAやんけ。そうなのだ。日本通信はドコモから電波を借りて事業をしている会社なのだ。だから日本通信と回線契約するとドコモの電波を使えるようになるのだ。
MNPで移転したから今までの電話番号を引き継いでいる。Web上で申し込みをしてから10日ほどかかった。届くまでの前日にSoftbankの回線は最後の息を引き取った。グッバイSB
カードをパキっと割って取り出して、トレーに刺す。電波を認識。「NTT DOC…」ドック? ドッチ?
速度は測ってみたところ下り800kbps前後。あまり速くはない。でもPCにつなげてデータ通信(テザリング)もできるのはよい。もちろん通話も問題なくできる。料金は月額6260円。「talking b-micro SIM プラチナ」という長ったらしい名前のプラン。高いといえば高い。
でもアウトドアで遊ぶにSoftbankの電波はあまりにも非力。
やっぱりドコモのネットワークを使いたいよね、というわけで。
黒タイベックビビィ / Black Tyvek Bivi
昨シーズンの冬は北アの稜線で強風の洗礼をうけた。
自立ドーム型テントでは持ちこたえられそうにない、場所を間違えばテントごと吹っ飛ばされるか少なくともポールが折れるんじゃないか、というか設営すらままならない、目があけられず呼吸ができないくらいの雪混じりの強風。そんな場所でどうすれば安全快適にビバークすることができるだろうかと考えるに、やはりビビィサックで行き倒れ的に寝るのが一番イージーで安全じゃなかろうかと思うに至ったのでした。
ということでまず手始めに、ビビィというわけじゃないけれど最軽量のスリーピングバッグカバーであるMontbellのU.L.ブリーズドライテックスリーピングバッグカバーを試してみたところ、これは雪中で二回使って二回ともひどい結露で内部がぐしょ濡れ。連泊するとシュラフが使い物にならなくなるおそれがあるため採用を断念。
Montbell U.L.ブリーズドライテックスリーピングバッグカバー
その次にMLDからSoul Bivi Side Zipを発注。Momentumという素材は防水性はないけれども撥水性があって透湿性もすこぶるよいらしいということで冬用に期待していたが、他の人からのレポートだとやはり冬場での結露は免れないらしい。
3層ゴアやe-Ventは結露には強い、らしいけど、くそ重い。
さぁどうしたものかと思いあぐねていたところ、タイベックは対結露でかなり性能がいいらしいという話。Locusのシェルターもタイベックだし、こちらの方も布団袋をビビィに応用されているのを目に付け、さっそく布団袋をお取り寄せまずはプロトタイプを作成してみた。
黒タイベックビビィ / Black Tyvek Bivi
サイズは縦220cmx横110cmのスーパーワイド仕様。標準サイズのビビィだときつくて冬用シュラフのロフトを圧迫してしまうのでかなり余裕をもたせてみた。水や靴や食料などの凍結を防止するために抱えて眠るときも大型のほうが使い勝手がよいだろう。これくらいのサイズだと中で靴下を履き替えたりちょっとした着替えも可能だ。もしかすると二人寝れるかもしれない!
自作キルトを入れてみた状態
ここまで大きいと、どうせならもうポールを通して自立仕様にしてしまいたい気分。Utopiaなんかと組み合わせてフロアシート的に使っても幸せな気がする。
というわけで重量は322g。サイズがサイズだけに最軽量とはならないが、でもギリギリ担いでもよい範囲に収まっているかな。。。
素材は布団袋から流用。黒いカラーは太陽光を吸収するのでシュラフを乾燥させるのに効果的だとか。ファスナー一式はOMMよりお取り寄せ。
両サイドのダブルジップはかなり長めにとってある。左側のジッパーは頭部のバグネットに連結し、右側のジッパーをあげると頭部を全閉する構造。屈曲する箇所の縫いつけには手間取った。
頭部には針金でフレームを入れてあるので、幕が顔に垂れ下がってくるのを防いでくれる。バグネットは吹雪のときにも役立ちそうだけれどどうだろうか?
内部にメッシュでスリーピングパッドホルダーを縫いつけ。ビビィで寝るときはいつもパッドがずれて困るので固定したかった。90cm長に合わせた。
ついでに足元にもパッドを固定できるように。
あとはクライミング用のスリングを縫いつけて、難所でも滑り落ちないようにする予定。
これで稜線上でどんなに強風が吹きつけても、ビビィの中にもぐりこんでしまえば安心安全。という目論見なんだけど、果たしてうまくいくのかどうだろうか…?
Gill B300 ネオプレンオーバーシュー / Neoprene Overshoe
冬ハイクの足回りに自転車用のネオプレン製シューズカバーを活用すると非常に暖かく、防水ランニングシューズと組み合わせることで軽快な足回りに仕上がる。ということでいくつものシューズカバーを取り寄せてああでもないこうでもないと試してみたのだけれども、昨シーズン末にようやく納得いく使い勝手のものに巡り会えた。
今までの他のシューズカバーの欠点というか不満は、
1) ジッパーだと着脱が面倒。雪がつまる
2) つま先のホールドが中途半端だったりしてスッポ抜けたりする
3) つま先部分が擦り切れてほつれて摩耗する。ワンシーズン持たない
などといったもの。
このGill B300は、ベルクロでの簡単な脱着、つま先部の補強による耐久性、がっしりしたホールド感など、他のシューズカバーの欠点を完全にクリアしてる。3mmネオプレン生地なので保温性も問題なし、濡れにも強い。今まで探したなかでは冬ハイクに最適なシューズカバーだ。
つま先部はしっかりとした補強。岩にぶつけてもアイゼンの留め金やバンドで摺っても今のところ耐久性はまったく問題なし。
足裏をベルクロで固定。柔軟にピッタリ決まるので、シューズとの間の雪の入り込みを防ぐことができる。
かかと部の固定もベルクロで。適当に引っ張ってくっつけるだけ。着脱のわずらわしさがなく快適。
シューズはMontrailのATPlus GTXを使用。ゴア製なので防水。ソールもやや固めで山道をまったり歩くにはもってこい。ローカットなので、テント泊時にもシュラフ内で抱えて眠ることができ凍結防止できるのがよい。なにより登山靴なんかより軽く歩きやすい。
つま先部はこのように。アイゼンを装着してもずれたりすることはない。
シューズカバーは足首周りもピッタリ覆ってくれるので、雪の入り込みを防ぐゲイターとしても機能する。山行中に一度装着したらつけっぱなしで、かかと部のベルクロの着脱だけで靴も一緒に脱ぎ履きできるので、ゲイターを着脱するよりも楽だ。
後ろ側にリフレクター。
購入するときはサイズ選びを慎重にしたほうがよいかも。
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ちなみに今冬の足回り構成は以下の予定。
- [インナーソックス] Injinji Performance Mini Crew → ※来年Smartwoolから5本指ソックスが発売されるらしいので買い換える予定
- [VBライナー] ポリ袋 (※スーパーにおいてあるロールのやつ) Vapor Barrierについてはこちらを参照
- [防水ソックス] Sealskinz Activity Socks
- [ランニングシューズ] Montrail ATPlus GTX
- [シューズカバー] Gill B300 Neoprene Overshoe
- [アイゼン] Kahtoola KTS Crampons ※行く場所に応じてアルミとスチールを使い分ける予定
- [スノーシュー] MSR Lightning AXIS Women’s 22
厳冬期over森林限界3000m級をターゲットとして十二分の保温性を確保しつつ、軽快な足回りに仕上がってきたかな。
厳冬期用900FPキルト、自作
今シーズンの厳冬期は、シュラフよりも出入りが楽で重量効率もいいキルトで過ごしたいと思っていたけれども、いかんせん選択肢が少ない。というより既製品だとNunatakのArc Expeditionの一択なのだけれども$561だとさすがに円高でも手が出しにくいうえに800FP+なのでさほどのスペックでもないしオーダーしてから完成まで2ヶ月かかるらしいし…
と悩んでいたところに900FPダウン素材が入手可能なような情報を得て、もういっそ厳冬期用キルトも自作してみようと踏み切ってみた。
以下完成品。裁断、縫製、封入まで丸一日で作業はほぼ完了。
出来上がりは期待以上。軽くてムッチムチ、厳冬期3000m級でも安心のキルトが完成した。
以下、スペック
■総重量: 910g
■ダウン: 900FP White Goose Down x 650g
■生地: 0.9oz Momentum90 Fabric(両面)
■サイズ: ロング 縦190cm x 首周り140cm x フットボックス周径110cm
素材はThru-Hikerから調達。標準のQuilt Kitではダウン量が足りないので個別発注。
900FPと称するダウン素材はカナダ産のホワイトグースダウンだとか。見てみたところフェザーは混入していない。
両面のMomentum生地は、MLDがビビィ素材として”The best of the best”と言うくらいなので、軽量性、撥水、透湿性でそれなりのパフォーマンスなのだろう。表面が青、裏面を黒としてみた。
ダウンが上下に寄らないように室房を作るのだけれども、これだけの厚さになるとロフトを殺さないように隔壁を縫いつけてボックス構造にしてやらないといけない。そこにはNo-See-Umのメッシュ素材を15cm幅に切りそろえて上下の生地に縫いつけた。室房は全部で11。
制作に使ったミシンは職業用のヌーベルクチュールだけれども、家庭用でも十分制作は可能だと思う。
首周りのコードはバンジーコード。伸縮するので出入りが楽。両端に縫止めしてセンターから引っ張るようにした。
夜でも目立つように赤色のスナップボタンで固定。
フットボックス底面は方形。ここにもきちんとダウンを封入。
裁断はさほど苦もなく、足側に向かって尻すぼみの形状にして、表裏面とも同じ形にカット。
縫製も思ったよりも楽だった。フットボックスを縫い付けるところだけが少し頭を悩ませたけれど。
一番苦労したのがダウンの封入。ダウンが飛び散ってもいいようにテントを張ってその中で作業したのだけれども、各ボックスにどれだけ詰め込むか本当なら計量しながらやりたいところだけれども、そんな悠長なことしてる余裕なし。まさに戦場。とにかくダウンを掴んで放りこんで、あとから全体のバランスを見て調整して、テープで仮止めしてから縫いつけた。
あとから知ったけれども、ダウンを濡らして固めて封入するという方法もあるらしい。頭は使いようだね。
↑採寸取りに借りたNunatak Arc Expedition(Large)(左)との比較。自作キルトのほうがダウン量は+27gほど多いけれども、見た目以上にムチムチ感は優っている。トータル重量は-6g差なのでほぼ同一。
↑GoLite Adrenaline 0°(上)との比較。足回りは同じくらいのロフトがあるが、上半身は自作キルトのほうが完全に分厚い。
↑Montbell U.L.SS #1(左)との比較。これはもう勝負にならない。
ダウン素材としては自称900FPというのも納得できる、というか、信じてみようという気になる素晴らしさ。これだけの素材を個人で少ロットで調達できるのならもう既製品を購入する理由はどこにもなく、制作もさほど難しくもなく、これからは最上最軽量のスリーピングバッグを入手しようとするなら自作するのが正道、と言い切ってしまってよいのでは。
飛び散ったダウンを回収。掃除が大変…
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