厳冬期用900FPキルト、自作
今シーズンの厳冬期は、シュラフよりも出入りが楽で重量効率もいいキルトで過ごしたいと思っていたけれども、いかんせん選択肢が少ない。というより既製品だとNunatakのArc Expeditionの一択なのだけれども$561だとさすがに円高でも手が出しにくいうえに800FP+なのでさほどのスペックでもないしオーダーしてから完成まで2ヶ月かかるらしいし…
と悩んでいたところに900FPダウン素材が入手可能なような情報を得て、もういっそ厳冬期用キルトも自作してみようと踏み切ってみた。
以下完成品。裁断、縫製、封入まで丸一日で作業はほぼ完了。
出来上がりは期待以上。軽くてムッチムチ、厳冬期3000m級でも安心のキルトが完成した。
以下、スペック
■総重量: 910g
■ダウン: 900FP White Goose Down x 650g
■生地: 0.9oz Momentum90 Fabric(両面)
■サイズ: ロング 縦190cm x 首周り140cm x フットボックス周径110cm
素材はThru-Hikerから調達。標準のQuilt Kitではダウン量が足りないので個別発注。
900FPと称するダウン素材はカナダ産のホワイトグースダウンだとか。見てみたところフェザーは混入していない。
両面のMomentum生地は、MLDがビビィ素材として”The best of the best”と言うくらいなので、軽量性、撥水、透湿性でそれなりのパフォーマンスなのだろう。表面が青、裏面を黒としてみた。
ダウンが上下に寄らないように室房を作るのだけれども、これだけの厚さになるとロフトを殺さないように隔壁を縫いつけてボックス構造にしてやらないといけない。そこにはNo-See-Umのメッシュ素材を15cm幅に切りそろえて上下の生地に縫いつけた。室房は全部で11。
制作に使ったミシンは職業用のヌーベルクチュールだけれども、家庭用でも十分制作は可能だと思う。
首周りのコードはバンジーコード。伸縮するので出入りが楽。両端に縫止めしてセンターから引っ張るようにした。
夜でも目立つように赤色のスナップボタンで固定。
フットボックス底面は方形。ここにもきちんとダウンを封入。
裁断はさほど苦もなく、足側に向かって尻すぼみの形状にして、表裏面とも同じ形にカット。
縫製も思ったよりも楽だった。フットボックスを縫い付けるところだけが少し頭を悩ませたけれど。
一番苦労したのがダウンの封入。ダウンが飛び散ってもいいようにテントを張ってその中で作業したのだけれども、各ボックスにどれだけ詰め込むか本当なら計量しながらやりたいところだけれども、そんな悠長なことしてる余裕なし。まさに戦場。とにかくダウンを掴んで放りこんで、あとから全体のバランスを見て調整して、テープで仮止めしてから縫いつけた。
あとから知ったけれども、ダウンを濡らして固めて封入するという方法もあるらしい。頭は使いようだね。
↑採寸取りに借りたNunatak Arc Expedition(Large)(左)との比較。自作キルトのほうがダウン量は+27gほど多いけれども、見た目以上にムチムチ感は優っている。トータル重量は-6g差なのでほぼ同一。
↑GoLite Adrenaline 0°(上)との比較。足回りは同じくらいのロフトがあるが、上半身は自作キルトのほうが完全に分厚い。
↑Montbell U.L.SS #1(左)との比較。これはもう勝負にならない。
ダウン素材としては自称900FPというのも納得できる、というか、信じてみようという気になる素晴らしさ。これだけの素材を個人で少ロットで調達できるのならもう既製品を購入する理由はどこにもなく、制作もさほど難しくもなく、これからは最上最軽量のスリーピングバッグを入手しようとするなら自作するのが正道、と言い切ってしまってよいのでは。
飛び散ったダウンを回収。掃除が大変…
採寸ってことは完全自作なんですか?すごすぎる..
ミシン買って帰ります。
次は1000FPのガチョウの品種改良に突入ですね。
これ読んだらますます作ってみたくなりましたww
挑戦します!!
これはホンマすごいですね!
いきなり大勝負するのも怖いので、ニトリの羽毛布団をバラして適当な化繊シュラフに突っ込んでみようと思います。笑
勉強になります。めっちゃすごいです。自分もつくってみようかなって?!でもシェラフの生地って手に入るんですか?もしよかったら教えてください。
始めてコメントします。メッチャすごいです。勉強になりました。このシェラフの生地って手に入れることは可能でしょうか?もしよろしかったら購入先を教えてください。
生地はThru-Hikerという海外サイトで購入しました。