滝川赤石沢から飯豊連峰… 8/19-21

山形県と新潟県、福島県の境にある飯豊連峰、そこを歩くアプローチに沢を経由しようという着想で、山形県側の滝川から地蔵岳の方角へと伸びる赤石沢をハンさんと辿ってみようということになった。

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小国駅前のスーパーで行動食を仕入れるはずだったけれども、沢靴・沢道具・ちょっと多めの食料を含めて26LのRPMに一切がっさいをつめ込んできてパンパンだったので、おにぎり3個だけを買ってタクシーに乗る。

東北の山も田舎もはじめてだったけれど、駅からタクシーで離れるとすぐに目立った人工物が少なくなる。里山、といっても関東近辺で見るようなのとは違い、あまり人の手の入ってなさそうな原生的な様子に少し心奪われた。

滝川の林道沿いの森の中には廃村跡。運転手談によると昔は住民がいて狭い畑を耕し山菜を採ったりして生計を立てていたらしいが、行政インフラを整備するのが難しいので町に転居しろと促され、みんな森の生活を捨てて出て行ったらしい。もったいない。

林道の終点にて料金9000円を支払い遡行の準備。釣竿をセットし、沢靴に履き替え、ハーネスをはめてヘルメットを被り出発。

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滝川を辿り、砂防堤のような場所を越えてしばらく行くと赤石沢への入渓ポイントがあり左折。雰囲気は少し鬱蒼としてくるけれども、しばらくはほとんど高低差がなくフラットな沢筋を歩く。

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石が赤いから赤石沢なのだろうか?ところどころ小さな滝も出てくる。

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僕のテンカラ竿を代わる代わる振りながら歩く。

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魚影は見かけたのだが、

ハ「おーい、ここに魚いるよー!! ここだってー」

ワ「あぁ?(声大きいってまったくもぅ…)」バシャバシャ

というかんじで騒々しくデリカシーの欠片もない俄釣り師達に釣られる魚がいるわけもなく…

1980円で買ったテンカラ竿は途中で継ぎ目が硬くなって収納できなくなり、がんばっていると折れてしまった。

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僕は問題ない滝であればなるべく登るのだけれども、ハンさんは沢に来たというのになぜか濡れるのを嫌がり、巻けるところはとにかく巻こうとする。歩き方は人それぞれだな…

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8mほどの滝がこのルートのクライマックスらしい。直登は避けて左から巻く。が、斜面は藪に覆われ足を乗せた土もずりずりと崩れ落ちなかなか焦った。僕は結局ルートミスをして高巻きすぎたので懸垂で降りる羽目に。ロープ出したりしている拍子におにぎりを一個沢に落としてしまった。

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運命の分岐ポイント。赤石沢をまっすぐ進むと地蔵岳にほぼ近い登山道に出られるはずだが手元に情報はなく、予定ではここからヤゴウ沢へと入り登りつめてから廃道の尾根を歩くルートなので、そのとおりに左折した。

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幕営ポイントがなかなか見つけられず日がどんどん暮れていったが、やっと焚き火のできそうな場所を見つけキャンプイン。タープも張らずビビィでの露営。

翌日、朝食を作るのが手間なので最後の一個のおにぎりを食べて出発。ヤゴウ沢を詰めにかかる。だんだん両側の植生が迫ってきて視界を覆ってくる。虫も増えてきた。目の前をミノムシが垂れ下がってきて飛び上がって驚く。沢に来といてなんだけど苦手なんだよなぁ…

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そろそろ水が涸れる。次の水場まで3時間ほどだろうか、ペットボトルに水を500mlほど確保。だんだん斜度が上がってきて、崩れる土の斜面と格闘しながら尾根を目指す。短くしたストックを土に突き刺し、草の根をつかみながら這い上がる。なかなか安心出来るホールドが少ない。

上がりきったところは鬱蒼とした藪の中だった。想定では鍋越山の近辺のはずだ。靴を履き替え廃道跡をさがす。地図上ではここに廃道のルートが通っており、登山道までは単純に尾根を辿って2kmほど。長くても2-3時間も歩けば辿りつくだろうとタカを括っていたが結局廃道の跡のようなものは見つからず、潅木の藪は想像以上に激しかった。

にょきにょきと真横に伸びきった無数の枝のような潅木が壁のように行く手を遮るので、それを持ち上げて潜ったり、あるいは思い切り体重をかけて踏みつけたり、ときに跳ね返されながら進む。そんな具合だから体力も気力もみるみる奪われていく。なんと生命力の旺盛な藪だろう。視界も悪く、ちょっと離れるとハンさんの姿もすぐに見えなくなる。

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藪と格闘すること3時間、5時間、7時間… 水はとうに尽き、食事もろくに取らずに藪を漕ぎ続ける。

それにしても長すぎる。途中で不安になるハンさん。

ハ「…ちょっとヤバくね?」

ワ「いや、尾根沿いに進むだけだから。迷ってないし。ちょっとハードなだけで…」

ハ「でもさぁ、方角合ってるのかなぁ…」

ワ「だいじょぶだってー、尾根だからさ (まーたいつもの不安症がはじまったよ…)」

と言いつつ、僕は体力的に参ってきて休憩時間が長くなる。そうこうしているうちにいよいよ日は暮れてしまった。途中で蛇がとぐろを巻いていたのを発見するけどもはや驚く気力もなくスルー。

月夜が山蔭を映しだし、目指す山道まではあと100mほどを残すのみに見えた。しかし今までで最もハードな藪に阻まれ心が折れる。もう動きたくない。まだ体力を残してるハンさんには先に行ってもらい、僕はトラバース中の藪の斜面でビバークすることにした。

喉は乾いたけど仕方ない。一晩くらい大丈夫だろう。

急な斜面にも容赦なく生えそろった潅木の上にのっかって、体が地面につかないのもお構いなしで眠りに入る。ハンさんの藪を漕ぐ音がいつまでも聞こえる。まだ抜けられないのだろうか? zzz…

翌朝、起きると2-3mほどずり落ちていたので登り返す。ルートの先を見渡すと眼と鼻の先に目指すピークが見えた。あそこが山道との合流点のだまし地蔵のはずだ。

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しかし体が動かない。どうもシャリバテてしまっている。やっぱ食べないとダメだな。ザックを開いて食料をさがす。まずはパックに入っためんつゆを飲み干し、続けてキーマカレーを冷えたまま一気飲みする。うまい。糖質が欲しいけど米を炊くには水がない。あぁめんつゆで炊けばよかったかなと思うも後の祭り。生麺もあるから焼けばいいのだけれどしかしもはや斜面でストーブを出すのもめんどうだ。さらに食料袋をさがすとピーマンが3個。生のままかじるとシャクシャクと水気がして極上の味。念のため1個を残し、しばらく体を休めてから行動開始。

潅木の障害物を踏み越えながら、3歩進んでは休み、また進んでは休みを繰り返し、斜面を進もうにもらちがあかないので、心を決めて尾根を這い上がる。なんとか緩そうな笹薮に到達し、しばらく歩くとようやく山道へと復帰。倒れこんでしばらく眠る。

起きると登山客もちらほら、近くで休んで声をかけてくれたオジサンに水とキャラメルを分けてもらい腹に収める。少し体力は回復したか。しかしここから飯豊連峰を歩くべきか、ハンさんはどこまで進んだだろう。もういいや、尾根歩きはあきらめて降りよう。

山道はなんと快適なんだろう、まるで高速道路だなー、と思いながら、途中で食事をとり、徐々に体力が回復してきて最後は走りながら駆け降りた。

そもそもルートミスだろうか?水と行動食をケチったのが良くなかったか?次またしんどい思いをするのが嫌なら今回の旅から課題を見出さなければいけないけれど、しかしそんなことはどうでもよく、地獄のような藪から這い出た満足感だけを愉しみながら東北を後にした。

カテゴリー:hike, Outdoor

真の沢キャンプ

だいぶ時間がたっちゃったけど、6月に行った真の沢。秩父の森の奥のほう。同行者はnariさんとhodapun。

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目的地の柳小屋のあたりまでが遠い。暑いなか歩き続けてすっかりバテる。

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小屋に着いたあたりで川辺の平地にタープを張って、

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焚き火をかこんで酒宴。雨あがりで枝が濡れていたけれども、エスビット投入して無事に着火。

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森林限界上のような絶景はないけれども、沢でのキャンプは山や木々のなかに深く包まれて眠る感じ。焚き火を一歩離れるとそこは精霊の住まう暗闇の世界? 酔っ払って撃沈。

ZZZ…

翌朝。ちらかし放題(汗。ビビはMLDのSoul Biby Side Zip

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今まで使ってたモ◯ベルの軽量シュラフカバーみたいにムレなくていいね。バグネットあり、頭部にちょっとしたフレームも入ってて使い勝手よし。

朝食とってから、すこし沢を遡行しつつ釣りにでかけます。

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2000円でゲットした3.6mのテンカラ竿。何度か枝にひっかけてフライを消失。そして一匹も釣れず…orz

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下半身はサワーシューズShortとネオプレンソックスにCW-Xの構成。

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hodapun、かっこつけてるけど坊主。

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W「魚くいたいね」

H「nariさん釣ってくれるっしょ」

W「他人まかせかよ…」

でもnariさんは3匹釣ったけど全部リリース。魚食べれず…orz

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フライロッドかっこいい。

そんな沢遊びでした。

以下おまけ。ソロ用スモールスタッキング。

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GSI Halulite Minimalistをメインに、Esbitのクッカー、GSIのInsulated Mug(Ketalistのおまけについてくる小さいやつ)がピッタリ嵌る。あとチタンプレート蓋。

広げるとこんな感じ。

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鍋つかみとパックタオル、自作の五徳一体型アルコールストーブ、折りたたみスポークまで収納可能。

米を焚きながらおかずを一品作って酒も飲める。ぜいたくや。

カテゴリー:camp, Outdoor

Hip Bag Hiking

笠取・飛竜では、ヒップバッグで幕営ハイクに行ってきました。

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DANA DESIGN Lone Trail 10L

そこそこ容量があり、ショビットにも荷物を挟んだり、外付けしたりできるので便利。DANA特有のウエストベルトで細かく調整できるので、がっつり積み込んでも腰にしっかり固定できる。これ自体は決して軽くはないけれど(未実測)、ヒップバッグで歩いて泊まるには今のところこれが最適だと思う。”走る”のがメインとなると腰がけっこう振られるかもしれないので、そこはまた別の工夫が必要かもしれない。

ヒップバッグで歩くメリットは、やはり軽さとコンパクトさが第一。重心が低く安定するから歩きやすい。肩や背中に荷重がかからないから上半身が一切の負荷をかけずに軽快に歩ける。そして暑くても背中がムレなくて快適。バックパックと比べるともはや別次元の快適さ。

中身は、

  • Bivi: MLD Soul Bivy Side Zip (240g)
  • Sleeping bag: GoLite Ultra 20°(550g)
  • Mat: 自作フィッシュボーンマット(46g)
  • Hardshell: OR Zealot Jacket (218g)
  • Wind-JKT: Montane LiteSpeed Jacket (159g)
  • Down-JKT: TNF LiteHeat Jacket (180g)
  • Foods: カロリーメイトx3箱、おにぎりx2、パンx2、トレイルミックス
  • Water: いろはすx2本、ポカリスエットx1本 (SealLine Water Bottle Holder)
  • Poles: 自作Wander-Stick(64g) x 2本
  • Other: コンパス SUUTO Commet(7g)、ヘッドライト Petzl e+Lite(29g)、ALOKSAKマップケース、FirstAid、下着着替え

こんなもん。まずは生存していけること、そして歩き続けられること。雨風を凌いで、体温を保って、カロリー補給ができることを最低限に目指した装備。

あ、これ以外にMAKA2をフロントバッグにして、カメラ類を入れてました。

テントやタープみたいな屋根は持たなかったけど、ビビィにくるまってれば雨風は凌げる。シュラフ、ダウン、ジャケット類は普段と同じ構成で不足ない。

今回特に省いたのはストーブ、クッカー、燃料の類。これらはたとえ宿泊山行だったとしても、自然のなかで生存するために、あるいは歩くために必ずしも不可欠な装備ではない。無雪期にこの重さは心の贅肉と割りきって切り捨ててしまってもよい部分かもしれない。「歩いて・食べて・快適に寝る」すべてのアクティビティの満足度を満たすのか、時には思い切って「快適に歩くこと」のみに集中するか、選択肢はいろいろ自由に選べるとよいと思う。

とはいえよく見てみるとまだまだ余分な贅肉がある。ストックは持たなくてもいいかもしれない。ハードシェルとウィンドジャケットもどちらか一つに統合してもいいな。

カテゴリー:gear, hike, Outdoor

笠取飛竜ハイク 2010.5.29-30

秩父・奥多摩の笠取〜飛竜へのハイクに行ってきました。

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メンバーは毎度のハンさんに加えて、今回は女子キャンプの某ガールをお招きして幕営ありのスルーハイクに行ってみようと、選んだのは笠取〜飛竜。共同装備は持たず個食個泊スタイルで出発。

JR塩山駅から西沢渓谷方面のバスに乗車。新地平のバス停からちょっと長めの林道を歩いて秩父奥多摩の主脈を目指します。

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新地平からの林道は沢沿いに緩やかに伸びていて、人もなく天気もよく気持ちよく歩けてGood。

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歩いてほどなくすると背中も蒸れ蒸れ。

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3時間ほど歩くとちょっとした登りに到達。だんだん視界が開けてきて、いっぱいの笹原の中を歩く。

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尾根までもう少し!

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やっと登りつめると、遠く奥多摩方面まで見渡せる場所に到達。ここが雁峠? お天気はすこし下り坂に突入。

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ガスの中へ誘われて行くように笠取山へと向かう。

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幻想的なトレイルを堪能。

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降りしきる雨のなか将監小屋に到着。

幕を張ってから休憩場所で一息。わりと寒い。この夜の最低気温は零度前後まで下がった。

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翌朝、幕営の様子はこんな感じ。ハンさんのSilTarp2。

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再び、霧の中を飛竜山目指して歩く。

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荒々しい倒木を横切り、原始の森に漂う。ここは腐海?

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お昼すぎに丹波に到着。バスに乗って奥多摩駅へと向かい、温泉に入って帰りましたとさ。

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左から、GoLite JAM2、僕のパッキングは真ん中のDANA DESIGN Lone Trail、右がハンさんのGoLite Day。

かねて宿願のヒップバッグでのお泊りハイクも試みることができた。というより女子が一番大きなザック背負ってるのはいかがなものかと… 個食個泊前提で軽量化していくとこうなるケースも出てくるので、意外な課題がでてきましたよ。

カテゴリー:hike, Outdoor

裏妙義デイハイク 2010.5.8

群馬県の西部に独特の奇峰を連ねる妙義山。そのルートはクライミングの要素が強くて、一般登山道としての難易度はあの西穂〜ジャンダルムさえもしのぐという噂を聞きつけてデイハイクに行ってきましたよ。ルートは裏と表があるらしいですけど、今回は易しめらしい裏妙義を歩きます。

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morikatuさんから譲ってもらったヒップバッグ、DANA DESIGNのLoneTrailに装備を詰め込む。フロントにはArc’teryxのMAKA2をカメラバッグに装着。腰回りのみのパッキング。

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■Packing

ウィンドジャケット: Montane LiteSpeed JKT

クッカー: GSI Halulite Ketalist

ストーブ: 自作アルコールバーナー Aromax C.F. System Stove

ロープ: finetrack フローティングロープ6.5mm x 25m

ギア: カラビナx2枚、スリングx2本、SMCエスケープエイトx1枚

水・食料・燃料

携帯電話・デジカメ・地図

こんなもんかな…。

尾根上に出るまでに道に迷ってよく分からない岩に取り付いたりあちこち歩きまわってタイムロス。

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尾根の上から、表妙義のほうを眺めます。やっぱりあちらのほうが一段と厳しそう。

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ていうより、なんだこの岩はwww

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ガールがただ一人単独アタックをかけます。たくましい、というより、相当な好き者ですな…。僕は眺めてましたけど。

ここから先は裏妙義の尾根をつたって歩いていきます。

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唯一の核心部をクライムダウン。でも鎖があるので問題なし。裏妙義のルートはそれほどたいしたことはありませんでした。

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これは道なのか…?? 滑ったらまっさかさま。でも鎖があるので大丈夫かな。

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なかなかの重量感のある威容。岩の塊。

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ふたたび表妙義のほうを眺める。しばらくヘリがホバリングしていたので、やっぱり誰か救出してたのかな? 事故が多いらしいですよ。

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こっちは浅間山? の方角。

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15:00頃に降りてきました。温泉入ってまったり。ジャンダルムより厳しいか?と言われるとそうでもなかったので、次は表妙義に行ってみたいと思いますよ。

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カテゴリー:hike, Outdoor

西穂高撤退 2010.GW

西穂高からジャンダルムを経て奥穂高・涸沢へ、という壮大な計画を立ててみたものの、あえなく撤退したお話し。

初日、悪天候の予報で朝から雨だったけれども、午後から晴れてきた。

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夕方に西穂山荘に到達。

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幕は張ったけど、外が気持ちいいのでこの日はごろ寝で就寝。

翌朝、快晴。

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と、思いきや、尾根の上はガスに包まれて視界がなさそうなので早々に撤退。

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15時くらいまで小屋でまったりしてから、再びハイク開始。

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今回の同行者はnutsさんとhanterさん。

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独標到着。今日のところはここでビバークすることにする。

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目指すはジャンダルムの向こう、奥穂高岳、だったのだけれど…

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独標の真上で、幕なし、シュラフカバーのみのビバーク体制を作る。

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マットは雪面だと滑るのでブリザードステイクで確保し、ピッケルにもセルフをとってハーネスに結びながら寝る。寝ぼけて落っこちるとしゃれにならんからね。

ハンさんもごろ寝スタイルで就寝。気持ちよさそうだ。

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しかし夜になると吹雪いてきて風が強く叩いてくる。暖かく寝られたけど、朝には雪まみれ氷まみれ。

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ハーネスにとっていた確保は、外で吹きさらしになった安全環カラビナが凍りついて外れなくなり、夜中にトイレに行けないという失態w ついにペットボトルトイレを初体験してしまった。楽だけど、なんか、ね…

マットも吹きさらしだったので空気口のスクリュー部分が凍りついて、朝にパッキングするときに空気が抜けなくなった。吹雪のビバークをするならやっぱりリッジレストなんかのほうがいいかも。スクリュー的なものは尽くダメだ。

モンベルのシュラフカバーは前回と同様で、やっぱり蒸れる。足元がぐしょぐしょ。蒸れ解消のためにMLDのサイドジップのビビィを発注していたんだけれど今回の山行に間に合わなかった。

nutsさんはNEMO。耐風性は良さそう。

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この日の朝もガスって視界がなくモチベーションが落ちる。しばらく待とうかどうしようか審議したけれども結局降りることに。あぁジャンダルム、またいつか来るよ。

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しかし降り始めて1時間もしないうちに快晴。なんてこった…

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とはいえ頭の中が温泉モードに切り替わってしまったので、登り返す気もおきずそのまま撤退。なんだかよくわからない山行で今期の雪シーズンは終了してしまった。また来シーズンに向けて準備をしよう。

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カテゴリー:hike, Outdoor

残雪谷川岳ハイク 2010.4.10

はじめての単独日帰りピストン山行。行こうかどうしようか迷ってたけれども、とりあえず10時過ぎ土合駅着。

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長いトンネルの階段をあがる。去年は厳冬期の夕刻に一人で登ってガクブルだったけれど、今回はけっこう人がいっぱいいたので安心。

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外から見たところ。山のなかから通路が出てくるかんじ。

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谷川岳ロープウェーで天神平へ。

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山頂コースをまったり歩く。気持ちいいので途中で横になって爆睡する。起きたら周りにだれもいなくなってて最後尾確定…

2時半過ぎにやっと主稜線に出る。天候もよくすばらしい景観、を一人で独占。

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もっとみんながこんな景色を見に、こんな景色の中を歩きに来ればいいのにな、と思う。とても簡単に来れるんだって、どうすれば伝わるだろう?

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トマの耳より谷川岳を望む。雪庇がすごい。山頂から谷底へ向かって滑走痕が見えるのは、まさかあそこから滑ってるわけ??

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登ってきたのはこんな感じのルート。帰りは雪の斜面を滑って降ります。

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すっかり遅くなって、ロープウェーの時間もギリギリだった。まぁ、そんなかんじ。また来るよ。

じゃーねー

カテゴリー:hike, Outdoor

Petzl Ange カラビナ

Petzlから出るという噂のクリーンロックノーズ式最軽量カラビナを待ちわびていたんだけど、先日morikatuさんところで紹介されてましたね。

Petzl Ange – Small Size 28g / 20, 7, 9KN / ゲート長 23mm / $11 (*興味ないけどLargeサイズもあるとか)

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photo from: rockclimbing.com

めずらしい一本ワイヤー?、アゴがない形状なので引っ掛かりがない。黒い樹脂製のパーツがベントゲートの役割をしてくれるのかな?

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photos from: rockclimbing.com

今までメインに使っていたカラビナはMetolius F.S. mini (23g)。小振りで軽く、ベントゲートだったのでロープもかけやすかったんだけど、細いスリングを取り外すときにアゴに引っかかるのが使いにくかった。

Petzl Angeに取り替えるとなると1個28gなので5gの増量、10個で50gは大きい… どうしたものか悩ましいけどとりあえず数個輸入したい。2010年8-9月頃のリリースになりそうだとか。それまでにXSサイズもラインナップしてくれないかなぁ?

カテゴリー:未分類

ツール・ド・キャンプ in 四尾連湖

まったり自転車で行ってきましたキャンプ。ロードを買ってから初の輪行ツーリング、ヒルクライム。

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けっこう重たいキャンプ道具かついでロードバイクで山を登ります。市川大門駅まで輪行して目指すは四尾連湖。標高差600m。

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ちょっと試しに漕いで登ってみるも、腰荷重でバックパック担いでたら体がどうも後ろに引っ張られて腰が激痛くなり100mも登らないうちにダウン。背中で背負うように調整するとなんとか登れそう。でも上から押さえつけられてるような荷重感…。

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ビンディングペダルは引き足を使えて調子よく、普段使わない筋肉を使ってる感じ。それでも何度もぶっ倒れながら休み休み登ります。寝っ転がってると景色もよく気温も程よく気持ちいい。

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息絶え絶えにキャンプ場へ到着。10.5km走るのに5時間かかったのは秘密です。

到着すると宴もたけなわ。バレンタインのお礼にガールズをご接待するキャンプという趣旨なんですが、一人だけ呑気に自転車乗って遅れてくる不届き者…(汗

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今回のお料理は燻製ステーキ。蒸し器にアウトバックオーブンを被せて簡易スモーカーとして使ってみました。うん、ちゃんと燻せてる。

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トマトガーリックソースをかけて、ワインとバゲットで召し上がります。

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ついでにチーズとソーセージも燻製。

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nut’sさんは丸焼きやってます… これには勝てません…。

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他にも、たこ焼きとか、チーズケーキとか、アップルパイとかなんか大変な料理が次から次へと出てきて大変でした。

マッカランとシガーでまったりと過ごす夜。

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酔っ払っていつの間にか寝てました。記憶あいまいです。zzz…

翌朝、寝ぼけてます。

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今回の幕はSixMoonDesigns GatewoodCape

お昼になってもみんなよく寝てます。

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いろんな体勢で…

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赤い彗星、Hilleberg Aktoに萌え〜

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そんなこんなで、また荷物担いで帰ります。下りはらくちん快適。

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ロードバイクいいね、ちょっとキャンプ道具の軽量化考えないといけないけど、これからの季節どんどん走る予定。

カテゴリー:Bicycle, camp, Outdoor

八ヶ岳石尊稜バリエーションハイク、敗退 2010.3.20-21

バリエーションルート、アルパインクライミング… 用語の定義はいろいろあるみたいだけれど、ようするに一般登山道ではない登攀ルートを時にロープで確保しながら登っていくような行為だと思えばいいのだろうか。なんだか映画や小説などで出てくるような、厳しい山をザイルパートナーとともに命がけで征服していくような男臭い世界。僕の中での”登山”のイメージはどちらかと言うとそういう行為が近しいように思う。すごいな、とは思うけれども、その世界にどっぷり浸かって取り組んでみたいとまではさすがに思わない。

そんな次元の違う世界に少し興味を持ったのは、ここ近年通っている冬山ハイキングにそのバリエーションルートのクライミングを組み合わせてみるとどうなんだろう? と思ったりしたからだ。一般登山道にとらわれず行程の自由度が圧倒的に増えるんじゃないだろうか? いや装備が一気に増えるし時間もかかるしパートナーも必要だし逆に足かせになるんじゃないの? どうなんだろう? いつからかそんな問いが頭のなかにチラホラと浮かんでいたのだけれど、やはり実際に試してみないことには分からない部分が多すぎる。ということでいよいよ厳冬期も終わり初春を迎えた八ヶ岳に、バリエーションルート初山行へと足を伸ばしてみることにした。

今回は特にハイキングと組み合わせることが前提のバリエーション、となるといくつかの条件が出てくる。まず足回りはローカットのトレランシューズに防寒用のネオプレンカバーを被せたいつものハイキングスタイル、アルミとは言わずともスチール製の前爪が出てない軽量な10本爪アイゼンで行けることが前提。また装備は基本的に全部担いで登攀する。スルーハイクを前提とするから、テントやシュラフなどをデポしてベースキャンプへ戻るという発想は持たない。逆にいつでもビバークできる装備を担いでいれば厳しい局面で悪天候に遭遇しても心強いかもしれない。その点は日々の軽量化でザック重量10kg以下に押さえ込めるだろう。ソロはもちろん無理なわけでパートナーと同行するが、装備は個食個泊を前提で共同装備はクライミングロープ一本のみ。

どうなんだろう? そんな条件で行けるんだろうか? 分からない。行くこと自体はたぶん問題ないような気がするけど楽しめるのか? ともかく行ってみないと。いずれにしろ冬山のハイキングでも僕の歩く場所は森林限界の上だ。いつなんどき雪庇を踏み抜いたり強風に吹き飛ばされて死地をさまよう羽目になるやも分からない。こういうことも経験しておいて損はないだろう。

結果的には今回は悪天候に尻尾を巻いて途中撤退したのだけれど、いくつかの仮説を検証でき課題も見えたことなのでよしとする。以下レポ。

日の暮れるころ、前泊予定地の赤岳鉱泉へと向かう途上。なくしものをしたりして僕だけ何度も行き来するはめになり結局赤岳鉱泉に到着したのは21時だった。10.5mmx60mのMAMMUTのロープがとにかく重い。これだけで3.8kg、ゲレンデならかまわないがバリエーションのときはもっと軽いのが欲しいところ。

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翌朝、赤岳鉱泉にて。アイスキャンディーを背景に並ぶBDテント4基。

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深夜から激しく雨が降りだし雪に変わって、日が登ってからようやく天候は落ち着いてきた。幕は軽量化のためにフロアレスシェルターにしたかったのだけれど、事前から雨予報だったので前泊でシュラフを濡らさないよう今回は自立ドーム型を選択。稜線でビバークする前提でビビィも携行。

4基のBDテントの主のうち、nut’sさんnariさんは地蔵尾根の一般ルートへ。バリエーションを目指すのは僕と、毎度のパートナーmt_hanter氏。

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準備を整えつつ小屋で情報収集。上は風が強いらしく、ほとんどのパーティーは停滞しているとのこと。小屋の主?らしきおじさまによると今日は無理だろうと、まぁ行けるところまで行ってみたらいいさ、とのアドバイスをもらう。

10時過ぎ。Arc’teryx A300aハーネスにギアをつけて完全装備で出発。内訳は、Metolius F.S.miniカラビナ(23g)にBeal 6mm Dyneema Slingをかけたアルパインクイックドローを5本程度、別途同じくBealの6mmスリング各種長さのものを数本、環付カラビナはTrango Superfly Screwlock(40g)を3枚、CAMP Base TwistLock(49g)1枚、プルージックコード2本、BDのデイジーチェーン、ビレイデバイスはRocteryxのデサンドールミニエイト環(70g)にルベルソキューブ(75g)。プロテクション類は今回はなし。お守りにフィフィフック。ロープ以外は軽さを最重視したチョイス。

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今回目指すルートは石尊稜。八ヶ岳主稜の横岳近くに上がるルートらしい。教本「チャレンジ・アルパインクライミング」によると八ヶ岳の冬期ルートのなかでも最も易しいルートで支点も整っており初心者同士でも安心とのことだが、他のソースによると赤岳主稜ルートのほうが簡単だとかで情報が食い違っている。が、とにかく今回はそのルートをあがる計画。横岳付近まで上がれたらその場でビバークし、翌日稜線を少し歩いて尾根の反対側へと下山するプランとした。どこから降りるかは登ってみてから考える。

取り付きまでは一般道を離れて沢筋を入っていくらしいのだが案の定迷う。

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やはり道を間違ったらしく中山乗越まであがってしまった。行き過ぎだ。八ヶ岳の稜線が見渡せるが雲にかくれておどろおどろしい。こんなところ登っていくのか…??

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ここで中山尾根を降りてきたパーティーと遭遇。上は風が強く、顔面が凍傷になりそうで2ピッチほどで降りてきたという。リーダーの人に石尊稜までのルートを聞いて再び来た道を戻る。ここで地蔵尾根チームと別れる。

どうやらこの沢筋だろうというポイントを見つけて遡行を開始する。雪の量はそれほどでもないけれども斜度がありラッセルがきつい。途中でハンさんにトップを代わってもらう。こういう地形は”ルンゼ”と言うらしい。

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足回りはいつものシューズ、ICEBUG GG FLY BUGRIPにネオプレンカバーをかぶせて防寒対策としている。ローカットなので足首は自由に動くしソールも柔らかい。アイゼンはKahtoolaのKTS Steel(662g/pair)を新調した。

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ハンさんの足回りは、Montrailのトレランシューズ、コンチネンタルディバイドGTXに同じくネオプレンカバー、Kahtoola KTS Steel。

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13:00。休み休み歩いていくとどんどん斜面は急になってルンゼもほぼ突き当たりに。どうやらこのあたりが取り付き付近じゃなかろうか? という場所に到達する。

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凍結した氷の斜面をあがり、右手の尾根上へと登ってみる。たぶんこれが石尊稜だ。ピッケルが効きづらい。シャフトは刺さりきらないのでピック側を刺して確保しながら進む。フットワークはというと教科書通りに前爪を蹴り込んでなんてことはできないが、足首もソールも動くシューズなので氷の斜面をスラブに見立ててスメアリングするように掴んで登っていける。うん、多少の不安はあるけど悪くはない。いける。が、滑ったら真っ逆さまだと思うと足がすくむ。

とにかく尾根の上にあがる。風をまともにうける。勢いよく流れる雲のなかに晴れ間が見えてきた。阿弥陀岳がその全容を現して出迎えてくれる。

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ふぅ、まずはセルフをとろう。木の根にデイジーチェーンを巻きつけてとりあえずは確保。

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さてどうしたものか、このルートで合っているのかどうかも定かではない。このまま尾根上を進んでいくとなるといよいよ両手を使って岩場をよじ登っていかないといけない。登れそうではあるが… その先はどうなっているんだろう??

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と見渡すと向こうの木の幹に残置スリングがかかっている。支点用に設置されてるものだろうか? ということはこの尾根を進んでもいいのだろう。

それにしてもリッジレストを担いで岩場を登ろうという発想には驚かざるをえない…。

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とりあえず物は試しにロープを出して確保しつつ進むことにする。まずは僕がトップで上がって様子をみてみようと取り付いてみるものの、厚手のグローブでうまくホールドがつかめない。木の枝にアルパインクイックドローを巻いて支点を作ろうにも、苦しい体勢をとりながらではカラビナからスリングをうまく展開できない。背面のバックパックが重心を後ろに後ろに引っ張ってくれる。ふむむ、なるほど、冬のアルパインクライミングはこんなものか、これはやっかいだ。一旦下に降りて、グローブを薄手のものに替え、使う本数分のアルパインクイックドローはスリングを展開しておいてから再び取り付く。

足回りは調子が良い。ソールが薄いから足裏の感覚でホールドの様子をある程度感知して探ったり掴んだりすることができる。足首も曲がるから体勢の自由度も高い。重登山靴やプラスチックブーツに前爪ドッギャーンのアイゼンをつけた本格スタイルは試したことはないけど、岩場を登るにはローカットの軽量シューズのほうが向いてるんじゃないかという気がした。

短くピッチを切ってセカンドビレイに移る。60mのロープを巻き上げるのが骨だ。太い木の枝にセルフをとってそのカラビナに直接ビレイ器具をつける。バックアップやら分散支点やらはとらないけど、まぁええやろ、距離も短いし、寒いし…。

しかしいざセカンドを引っ張り上げようとすると凍りついた10.5mmのロープがルベルソキューブを通らない。慌ててストップをかける。なるほど話には聞いていたけど冬場にルベルソキューブは使い物にならんのだなぁと感心しつつ、急いでエイト環に取り替える。今度は大丈夫だ。ロープは流れる。しかし時間をとってしまった。ハンさんは凍えてることだろう。

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セカンドが到着するとそのままトップを交代する。エイト環で確保しながらロープを送り出す。しかしなかなか遅々として進まない。風に吹き付けられぱなしで寒い。ハイキングであれば常時歩いて体を動かしているので発熱するが、クライミングだと地形的にも風をよけられず、ビレイするときはずっと静止したままなのでどんどん体温を奪われて行く。ロープから手をはなして食事をとったりお湯を飲むわけにもいかない。なるほどこりゃ勝手が違うな。

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そうこうしているうちに天候が急変してきた。西の空から押し寄せてきた雲が一瞬のうちに景色を奪う。

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風の音でお互いの声が聞き取りづらい。どうやらピッチを切ったらしい。ビレイを解除して残りのロープを送り出し後を追う。

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2ピッチ目の終了点。相方もやはりATCガイドでだいぶ苦戦したようだ。

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こんな痩せた尾根を登ったり降りたり。

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セルフをとろうとするがクイックロック式のカラビナが思うように開かない。ロック部分を回そうにも指が滑ってしまっているようだ。グローブを皮製のものなどに再検討するか、カラビナに滑り止めなんかを施す必要があるかもしれない。

この先はいよいよ核心だろうか? まったりした雪稜歩きが楽しめると教本にあったのはおそらくこの岩壁の上だろう。行けないことはなさそうだ。しかしここを上がってしまうとこの悪天候の中もう後戻りが効かないかもしれない。時間もすでに15:00を回っている。さぁどうしよう?

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ともかく相方のモチベーションを確認する。同じ迷いに気を揉んでいるだろうことはその表情から明らかだ。

ワ「どうする…?」

ハ「降りましょう!」

ワ (即決かよ…w)「ここでビバークとかは?」

ハ「アリエマセン!」

ワ「だよね…」

なんとなく後ろ髪を引かれる思いを残しつつ撤退に同意する。2ピッチでだいぶ手間取ったし、この天候なら仕方ないか…

ここからは懸垂下降で降りる。岩壁と氷の斜面を3回ほど下降したところでシリセードができるくらいの雪面に達し、あとは一気に滑り降りる。赤岳鉱泉でラーメンでも食べよう。

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16:00頃に赤岳鉱泉に着くと地蔵尾根チームのnariさんと再会。同じく悪天候で撤退したらしく明日また赤岳を目指すという。僕らはナイトハイクでその日のうちに八ヶ岳を後にすることにした。

下山する間、ずっと左手が気になっていた。どうも親指がしびれたのか力が入らない。それほど酷使したわけでもないのにどうしたことか? それに両手の指先がどれも深爪したようにジンジンと軽い痛みを感じる。ハンさんもどうやら同じようだ。軽度の凍傷の入り口一歩手前くらいの症状だろうか? 今まで何度も冬ハイクに出かけたけれどもこんな症状になったことはなかった。グローブも濡れてはいなかったし実質的に日帰り程度の行動時間だったはずだが? しかしおそらくビレイ中にじっとしている少しのあいだ風にさらされたことで、体幹から温度を奪われて体の末端への血流が阻害されたのかもしれない。ともかくどれくらい冷風を浴び続けると凍傷になるのか、その感覚がつかめたことだけでもよしとしておこう。

いろいろと見えてきた課題のまとめ。

足回り: ローカットのトレランシューズと軽量10本爪アイゼンという足回りは思ったよりもよく機能してくれた。岩場での登攀には何も不安は感じなかった。凍結した斜面でも歩き方によってかなり対応範囲は広いが、それも斜度によると思われる。一定の斜度を超えるとおそらく対応は難しく、アイスクライミング的な登攀が必要なシーンには向いていないだろう。

カラビナ・クイックドロー: アルパインクイックドローのカラビナは、厚手のグローブをつけた手でスリングを着け外しするときに特にアゴが邪魔になって鬱陶しい。操作性を高めるためにもクリーンロックノーズみたいなアゴなしタイプにしたいところだけど重量増はいただけない。幸いにもPetzlから最軽量クラス23gのクリーンロックノーズ式ワイヤーゲートカラビナが発売されるという噂があるので、来シーズンまでにはそれに統一したいところ。

ロックカラビナ: スクリューロック式は凍りついて開かなくなることがあった。クイックロック式もこれまた手が滑って開きにくい場面があった。冬期に最優先すべきスピードを考えると、ロック機構は省いてカラビナは全部ワイヤーゲートのみにしてしまってもいいんじゃないだろうか? うーん…

グローブ: 登攀中にホールドをつかみやすく、ギアの扱いにおいて操作性に優れ、なおかつ防風防寒保温速乾性のあるグローブ、そんなものはないって? そうかもしれないけれどとにかくこの部分は大きな課題が残る。要検討。

ビレイデバイス: ロープとの組み合わせにもよるのだろうけどルベルソキューブやATCガイドは冬には向かないかもね…。予備とあわせてエイト環を2枚携行するほうが具合がよさそうだ。

強風対策: 強風で物理的に吹っ飛ばされるとかよりもとにかく体温低下を極力避けるために風を浴びる時間を最小化することのほうが優先度高そうだ。そのためにはクライミング自体の速度もそうだけれども確保のためのシステム構築にかかる時間短縮も大事そう。MetoliusのEqualizerのようなプリセットされたギアは有効だろうか? また化繊ベストなど風を浴びても体幹の温度を逃さないようなウェアも考えないと…

ロープ: ピッチを短めに切るとビレイをしている時間も短くお互い小刻みに運動できるので体温低下を避けられるし、距離が近ければ声も通りやすい。そうなるとロープは短めのほうが巻き上げる労力が少なくて済む。50m? 40m? しかしそこはやはりルートによりけりだし、懸垂下降で下れる距離はロープ長の半分なわけで、あまり短いと難儀することもあるかもしれない。というよりもピッチ数が増えるとクライミング全体の時間としては増えてしまう? どうしたものか、ここは悩ましい選択になりそうだ。少なくとも10.5mmのようなバカ太いものはやめて8mm台のシングルロープにしたほうが軽量化にも確保器のロープの流れの上でもいいかもしれない。

ともかく冬期バリエーションでもランシューズでかなり対応できそうなことが分かったのが最大の収穫か。その他のギア周りの再整備をして次回は来シーズンかな…?

カテゴリー:climbing, Outdoor